リーダーたちの目標(1) 主要ビジネス界が掲げるべき目標
ビジネスの本分はチャリティ(慈善事業)ではない。それは社会の務めである。慈善財団が行うチャリティは歓迎すべき付加物であるが、財団が使う金銭でもうけた企業が自分たちの短期的な利益に身をささげ続けるのならば、これでは企業として十分とは言えない。産業の主要分野における市場のリーダーたちは、責任あるビジネスの実践と持続可能性を育成する戦略を全世界レベルで実行できるコンソーシアム(共同事業体)をつくる必要がある。そのコンソーシアムならば、明確で妥協のないミッションステートメントや、説得力ある倫理および行動規範に基づいた経営ができる。コンソーシアムのメンバーは、環境において物理学的、エコロジー的、社会的な持続可能性に貢献するような戦略に向けて諸ビジネスが確実に移行できることを唯一の目的に競争を行う。そして力を合わせることによって、便宜主義的で非倫理的な競争相手による挑戦を克服できる力を持つのである。
社会に利益をもたらす目標に向けて市場のリーダーたちが固く約束すべきは、ビジネスの展開方法を全世界で変容させることである。企業は、彼らの存在理由(レゾンデートル)としての狭量な考えによる利益と成長を、人類のコミュニティ(共同体)の利益に献身するものに取って代えるだろう。もはや、ことの核心は"企業に最大限の利益を最短期かつ最小限のリスクでもたらすべく"努力することではなく、"企業の生存能力を維持する一方で最大数の人々にとっての最大の利益を生み出す"ことである。この変化によって、社会環境と自然環境の持続可能性と、人類の幸福をもたらすものに献身する社会的行為者の仲間に民間部門の血が入ることになる。